海軍条約事件 THE NAVAL TREATY
ストーリー
ワトスン博士のかつての学友、オタマジャクシのパーシー・フェルプスは、ケンブリッジ大学を卒業後に、叔父ホールドハースト上院議員の尽力で外務省に入省、要職を務めていた。
機密事項である英国とイタリアとの海軍条約の写しを任されていたのだったが、コーヒーを頼みにオフィスを離れた隙に肝心の原本を盗まれてしまう。
敵国に渡れば内閣が瓦解しかねない文書を紛失したことで憔悴状態に陥っていたフェルプスは、ワトスンの友人が稀代の名探偵であることを伝え聞いて、文書を見つけてくれるよう久方ぶりに手紙を寄越したのだった。
仮想敵国のロシアやフランスが10週間経っても条約について言及しないことを見たホームズは、犯人がまだ条約を手元に残している可能性を、ホールドハースト上院議員に示唆した。
一方で深夜、フェルプスの寝室に窓から侵入しようとする者が現れる。ロンドンでの捜査が重大と見たホームズは、一緒にロンドンに赴くようフェルプスに促す。
原作のエピソードや挿絵に忠実な映像化
初期のシリーズでは、原作に出てきたホームズの習慣や部屋の様子などが毎回のように事細かに再現されていますが、今回は化学の実験に没頭するホームズや、壁にピストルで刻まれたVR(ヴィクトリア女王)のイニシャルの跡(NHK版ではこの貴重なシーンはカット)といったエキセントリックな部屋の散らかりようが強調されています。
また、捜査の途上で、ホームズの祖母がフランス人であることも、ワトスンの口からさりげなく明かされます。外務省での捜査のためにいつもとは違う正装のタイをつけていますが、他にもこの回では、珍しくホームズは白い背広を着ています。他の回では見られない白い背広姿のホームズ、さながらファッションショーのようです。