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シャーロック・ホームズの冒険データベース

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マザランの宝石 THE MAZARIN STONE

ストーリー

フランス政府に返還する予定になっていた110カラットのマゼラン・ストーンが何者かに盗まれた。カントルミア卿はシャーロックに宝石を取り戻すようマイクロフトを介して依頼するが、弟はスコットランドに行って留守だったため、代わりにマイクロフト自身が依頼を引き受ける。

マイクロフトはブラッドストリート警部を伴って博物館に赴く。博物館員の証言によると、宝石が盗まれた日の閉館前には、ネグレット・シルヴィアス伯爵が訪れていた。シルヴィアス伯爵の元に赴くと、件の宝石を所有していることを堂々と仄めかす。宝石商にシルヴィアス伯爵が訪れたことを突き止めたマイクロフトは、店主からマゼランストーンの加工を頼まれたことや、数年前に腕利きの宝石職人ロジャー・プレズベリーが殺されたことを知る。

一方で、ワトスン博士の元には、ガリデブ老姉妹が訪れていた。同じガリデブと名乗る奇妙なアメリカ人がやってきて、アメリカで出会ったガリデブ氏の遺言により、3人の成人男子のガリデブが揃えば、500万ドルの遺産がその3人に譲られるというのだ。生物学者の兄ネーサン・ガリデブはすっかりその話に乗り気だったので、何とか思いとどませるようシャーロック・ホームズに依頼に来たのだった。

遂に三人目のガリデブがバーミンガムで見つかったとガリデブから報告が来るが、その広告にはアメリカ風の綴りやバーミンガムにはない四輪馬車、井戸掘り機などが掲載されていた。ロジャー・プレズベリー殺しの犯人をブラッドストリート警部に洗って貰うと、シカゴ生まれのジェームズ・ウィンターなる人物に突き当たる。写真を見るとジョン・ガリデブだった。警部の話によると、ジェームズ・ウィンターはプレズベリーの助手で、5年の刑期を終えて2ヶ月前に出所したところだった。

路上でホームズの使いからメモを受け取ったワトスンは、ガリデブ家の以前の下宿人についてガリデブ老姉妹に聞くが、4,5年前に忽然と姿を消し、その後は兄ネーサンが下宿人の部屋を占拠していた。同じ頃、宝石商が何者かに襲撃される。店主に呼び出されたマイクロフトは、ファン・セダーがロンドンに船で来ていることを教えられる。おそらくマゼラン・ストーンをそのままアムステルダムに運ぶのだろうと店主は読んでいたが、宝石の分割はプレズベリーの助手でも無理だとマイクロフトに教える。

電報を受け取ったネーサン・ガリデブはバーミンガムへと赴く。ジョン・ガリデブが部屋にやってくると踏んだマイクロフトとワトスンは、ネーサンの部屋で待ち伏せをしていたが、案の定ジョン・ガリデブがやってきて、机を移動させ、地下室へと通じる蓋を開けて中へ潜った。そこはプレズベリーの宝石工房だった。ジョン・ガリデブことジェームズ・ウィンターを捕獲しようとするが、ワトスンが負傷してしまう。ウィンターはワトスンを刃物で脅しながらシルヴィアス伯爵と協定を結んでいた事を話すが、マイクロフトは「すでに伯爵はファン・セダーと共にアムステルダムへ出港した」と告げた。

さようなら、そしてありがとう、ジェレミー

グラナダホームズの中で、最も脚色の強い短編となりました。まず「ガリデブが3人」と「マザランの宝石」の2短編を1つに繋げています。更にジェレミーの容態が悪くなったことから、ワトスン役のエドワード・ハードウィックと、マイクロフト・ホームズ役のチャールズ・グレイが、事件の捜査に乗り出すことになります。ジェレミーは最初と最後に出てくるだけです。最後に暗闇の中から、「マイブラザー・ブラボー」と言葉を贈り、闇へと去っていくジェレミーの姿は、まるでそのまま黄泉の国に旅立つかのように暗示させます。

ただ、本国では、この後「ボール箱」が撮影されましたので、正確には「ボール箱」がグラナダTV版シャーロック・ホームズシリーズの最後になります。ジェレミーの体調の悪さから、原作では非活動的人物という設定になっているマイクロフト・ホームズが縦横無尽に活躍する話となりました。

「マザランの宝石」は元々戯曲で、モリアーティ教授の一味で「空き家の冒険」の主要人物セバスチャン・モラン大佐が犯人でしたが、その後小説化され、犯人もシルヴィアス伯爵に変更されました。戯曲から小説化されたこともあって、物語はワトスンの口述という二人称の形を取らず、より自由な視点の効く三人称の形式となっています。60編のホームズ物語の中で、三人称の形式を用いているのは、「マザランの宝石」と、ホームズが最後に手がけた事件であろうと目される第1次大戦前夜の「最後の挨拶」のみです。

「マザランの宝石(Mazarin Stone)」は、マザリンとも訳されていますが、フランス語読みでは、inは「アン」と発音するのが普通ですので、フランス語読みに則るのなら「マザラン」となります。

本編の伏線として「ガリデブが三人」のストーリーも楽しめるようになっています。こちらはワトスンが担当しています。原作では偽金造りの機械が地下室に置いてあるという設定でしたが、今回二つの短編を一本化するに辺り、盗んだマザランストーンを海外に持ち出すための宝石工房と設定が変更されています。

冒頭、ディオゲネスクラブで、カントルミア卿がマイクロフト・ホームズに事件を依頼するシーンがありますが、「ギリシア語通訳」では私語厳禁だったディオゲネスクラブで、声が響くほど大声で会話しています。宝石の煌びやかなシーンでも効果音も大きいです。シルヴィアス伯爵が盗んだ時に勝利の雄叫びと共にポーズを取る影絵のシーンがありますが、シドニー・パジェットの描いた「技師の親指」のライサンダー・スターク大佐の絵に、スリムな体つきといい着ているコートといいイメージがソックリです。

ジェレミー・ブレットは病気が悪化したため冒頭と最後にしか出てきませんが、幸か不幸かその制約をカバーするために実験的手法を意欲的に取り入れている、非常にレアな作品となりました。最後のシーンは、まるで、ファンやスタッフに対する最後の挨拶のようで、何だかジェレミーが黄泉の国へと旅立っていくような感じがして、淋しい気持ちになります。

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