シャーロック・ホームズの冒険データベース

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ボヘミアの醜聞 A SCANDAL IN BOHEMIA

ストーリー

休暇から戻ったワトスン博士が221Bに帰宅すると、同居人のシャーロック・ホームズの機嫌がやけに良かった。悪癖のコカインをやっているのかと諭すが、ホームズを機嫌良くしていたのは、コカインの7パーセント溶液ではなく、或る依頼人からの手紙だった。

紙の質や綴りから、依頼を寄越したのは高貴なドイツ人だと推測づけたところへ、定刻通りに仰々しい出で立ちの依頼人が221Bにやってくる。尊大な態度で話し始めようとする仮面を付けた依頼人を、ボヘミア国王だとホームズは見抜き、王は仮面を床に叩きつけたのだった。

一国の王がわざわざホームズの元に依頼に来たのは、或る写真を取り戻して欲しいがためだった。王の話によると、ワルシャワに訪問した際に、オペラ歌手のエレーネ・アドラーと知り合い恋に落ちるが、その後破局。スカンジナビア王の姫と結婚が間近に迫っている中、アドラーから破談を誘発しかねないデリケートな写真を取り戻して欲しいという。

これまで幾たびか写真を取り返そうと試みたが、いずれも失敗。そこで私立探偵のホームズに依頼しに来たのだった。馬丁に変装したホームズはアドラーの近辺を探索し、人数を動員して大芝居を打つことで写真のありかを突き止めるが、翌日ボヘミア王を連れてアドラーの住むブライオニ荘に向かうと、既に邸宅はもぬけの殻だった。

記念すべきグラナダ版シャーロックホームズの第1話

ボヘミアの醜聞は、ストランドマガジンに初めて掲載されたコナン・ドイルの短編小説です。グラナダ版シャーロックホームズの冒険でも、第1話として扱われています。

探偵家業の十八番である変装シーンもあります。馬蹄と牧師に変装しますが、どちらも全く別人にしか見えない見事な出来です。王家からの依頼、めくるめく変装と、ミステリーの道具立てがふんだんに詰まっている贅沢な一作です。大芝居を打った後にベーカー街の下宿先に帰る場面で、男装したアドラーから「グッナイ、ミスターシャーロックホームズ」と声をかけられるシーンは、シドニー・パジェットの挿絵そのものです。

やはり見所は冒頭のシーンでしょう。シャーロック・ホームズシリーズの始まりを飾るワンシーンは原作に限りなく忠実ですし、なぜホームズが探偵になったのかということも短く触れられています。実際に一番初めに撮影されたのは「美しい自転車乗り」ですが、今後全41話に渡り制作されることになる、グラナダテレビ版シャーロック・ホームズシリーズの幕切れとなる重要なシーンを見事に演じています。

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