赤髪連盟 THE RED-HEADED LEAGUE
ストーリー
質屋を営むウィルソンは従業員を雇うため新聞広告を出したが、運の良いことに相場の半値で雇うことが出来た。見習いがしたいという男で、仕事は良くでき、難点といえばカメラが趣味で暗室代わりの地下室に篭もることくらいだった。
ある日、従業員が赤毛連盟に関する欠員補充の広告を見つけ、立派な赤毛の持ち主には年200ポンド払うという。従業員に急かされて事務所に行ってみると既に赤毛の候補者達でいっぱいだったが、選考者であるダンカン・ロスがウィルソンを一目見たなり、立派な赤毛の持ち主として認められ欠員補充が決まった。
仕事は事務所でのエンサイクロペディアの写本で、朝9時から午後の2時まで。ただしいかなる理由があっても事務所から離れてはならないのが条件だった。ちょうど従業員も雇ったところなので、条件を承諾するが、8週間後に突然連盟は解散した由の紙切れが事務所のドアに貼り付けられていた。
この奇妙な出来事をホームズとワトスンに話したのだったが、二人は大笑いする。怒って立ち去ろうとするウィルソンをなだめすかしたホームズは、新しく雇った従業員の特徴を聞くと、或る人物が浮かび上がった。
赤毛連盟から最後の事件へ橋渡し
赤毛のウィルソン氏の後ろ姿や歩く仕草が、NHK教育の「できるかな」のゴン太くんにソックリです。まさにグラナダTVとNHKの夢のコラボレーション(笑)。
赤毛のウィルソンを見たときの息を呑む程の驚嘆振りや、赤毛がカツラでないか引っ張ってみて「そう来なくては」と愛想良く言う仕草や、欠員補充を知って暴徒化した連中から必死で部屋に非難するダンカン・ロスのコミカルさが笑えます。
そんなダンカン・ロスも、モリアーティ教授の前では赤毛のカツラを脱ぎ、冷酷な犯罪者の一員と化します。この回では原作には出てこないモリアーティ教授(エリック・ポーター)が裏で糸を引いているという設定になっていて、次回の「最後の事件」の前振りの役割を果たしています。
原作にも出てきたサラサーテの演奏会のシーンや、フランスの文豪ギュスターブ・フローベールがジョルジュ・サンドに送った一節を引くシーンも盛り込まれています。