シャーロック・ホームズの冒険データベース

グラナダTV版シャーロックホームズ & ジェレミー・ブレットファンサイト

マスグレーブ家の儀式書 THE MUSGRAVE RITUAL

ストーリー

ワトスンから再三休養を取るよう脅されていたホームズは、大学時代の友人レジナルド・マスグレーブの招待を受け、ワトスンと共にサセックスに休暇にやってきた。マスグレーブの執事ブラントンは主人よりも数段博識があり、館の来訪者に必ず覚えられるほどだったが、女たらしという欠点があり、気性の激しいウェールズ気質のメイド、レイチェルと婚約していたものの、浮気が絶えなかった。

ブラントンを交えながら晩餐を楽しんだ翌朝、ブラントンがいないのを不思議に思いメイドのレイチェルに尋ねると、突然取り乱して気を失ってしまう。マスグレーブの話によると、昨夜コーヒーを飲んで眠れなくなったので、本を取りに書斎に行くと、ブラントンが当家の書類を読み耽っていたが、こちらに気づき、慌てて地図のような物をポケットにしまった。

明日立ち去るよう命じたが、罷免は恥なのでせめて2週間留まらせてくれとせがむので1週間の猶予を与えたという。ブラントンが見ていたのはマスグレーブ家に古くから伝わる儀式書で、成人の折には暗誦させられるものだった。儀式書を読んだが、内容は宝探しの類のもので、先祖代々試してみたが結局宝は見つからずじまいだったという。

翌日にはレイチェルも失踪。池をさらうが、最近捨てられた物と見られる錆びた金属と石ころのがらくただけが見つかっただけだった。謎を解き明かすためホームズたちは儀式書の解読に乗り出す。

古文書解読に意欲的なホームズの姿が素敵すぎる!!

お気に入りのグラナダホームズの中の一編です。やはり、古典的な音楽に乗せて、古文書の解読に活き活きと乗り出すホームズの姿が溜まりません。原作は広大な敷地にしては歩数が少なすぎるので、ホームズがキビキビ歩けるように歩数が増量されています。

原作ではホームズの学生時代に遭遇した事件をワトスン博士に昔語りするのですが、グラナダ版ではワトスンと共に保養を目的に学生時代の友人の館を訪れるという筋書きになっています。

ピューリタン革命で処刑されたチャールズ1世と、その後即位することを待望されたチャールズ2世の故事を絡ませた宝探しストーリーは、なかなかに奥行きが深く壮大です。ホームズの両手のひらにイギリス王室の歴史の重みが乗っかっているわけですからね。

メイドのレイチェルはどこかの田舎に失踪したのだろうというホームズの憶測で終わっていますが、グラナダ版では、ホームズが原作と同じ推測をしてマスグレーブの屋敷を後にしたのち、レイチェルの遺体が池から浮かび上がるというオチで終わっています。原作を越えた見事な脚色です。

この作品の脚本で、脚本家のジェレミー・ポールは賞を受賞しています。

関連リンク