シャーロック・ホームズの冒険データベース

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もう一つの顔 THE MAN WITH THE TWISTED LIP

ストーリー

ケイト・ウィットニーの頼みで、3日間家に帰ってこない夫のアイザを連れ戻すためアッパースワンダム小路のアヘン窟へと向かったワトスンは、老人に変装したホームズと鉢合わせる。ホームズはセントクレア失踪事件を調査中だった。

資産家でケント州リー市に豪邸を構えていたネヴィル・セントクレアは醸造家の娘と結婚し、幸福な毎日を送っていたが、月曜の朝、子供に積み木を買ってやると言ってロンドンに仕事に行ったきり帰ってこなくなった。

同じ日に夫人は汽船会社から小包が届いているという知らせを受けロンドンに行った際に、アッパースワンダム小路に迷い込み、二階の窓から夫のネヴェルが顔を出しているのを見つける。こちらに気づいた夫は悲鳴を上げて顔を引っ込めた。

夫人は部屋に押しかけるが、誰もいないと言い張るインド人水夫と中国人に追い返される。20分後にブラッドストリート警部を連れて戻ってきたが、二階には誰もおらず、隣の部屋に有名な物乞いブーン氏がいるだけだった。

ブーンはシェイクスピアやディケンズなどの引用が得意で、シティ界隈で人気者になっていた。部屋を探していると、積み木と夫の衣服が見つかり、ブラッドストリート警部もようやく夫人の話を信じる。窓枠には血痕の跡があり、オーバーコートがなくなっていたが、後日潮が引くと、テムズ川から小銭が重し代わりに詰まったコートも発見された。

ブラッドストリート警部はブーンを逮捕するものの、未だに死体は出てこずじまいだった。ホームズは月曜に殺されたと判断するが、夫人から金曜の消印で夫から手紙が届いたと打ち明けられる。筆跡は夫のものに間違いないと断言する夫人は、夫の生存を頑なに信じていた。

印象的なアヘン窟、たき火のエンドロール

アヘン窟からケント州の「杉の木」の豪邸に向かうまでにいきなりお馴染みのオープニング音楽が流れ出すのは不規則で不自然さを感じさせますが、代わりにエンドロールでは音楽は一切流れません。

たき火を使った効果的なエンドクレジットの手法は、後に「サセックスの吸血鬼」でも音楽付きで使用されます。アヘン窟の描写も後の「瀕死の探偵」で再現されますが、こちらの方がおどろおどろしさでは上かもしれません。

ブラッドストリート警部を演じるデニス・リルが今シリーズに初めて登場します。後に第4シリーズの「ブルース・パティントン設計図」や第6シリーズの「マザランの宝石」に同じブラッドストリート警部役で出演することになります。

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