ウィステリア荘 WISTERIA LODGE
ストーリー
ホームズの元にグロテスクな体験をしたので相談したいとの電報が届く。グロテスクという単語についてワトスンと論議しているうちに、手紙の主スコット・エクルズ氏が221Bにやってきたが、かなり取り乱している様子だった。
社交的な性格のエクルズ氏は友人を介してスペイン大使館と繋がりのあるスペイン人アンディ・ガルシアと知り合い、共通の趣味である地図作成の為にガルシアの住むサリー州ウィステリア荘へとやって来たが、部屋は雑然としていて食事は酷いものだった。
晩餐の最中に手紙が届き、ガルシアは封を開けて読むと、焦った様子で丸めて暖炉に投げ捨てる。就寝後にガルシアが寝室を訪れ、呼びましたかと尋ねる。呼んだ覚えがなく時刻を聞くと午前1時だと答えた。朝起きるとガルシアと執事はいなくなっていた。
滞納した家賃を肩代わりさせる悪巧みだと考えたエクルズは不動産屋に問い合わせるが家賃は既に前払いされていた。次にスペイン大使館に問い合わせたが、ガルシアなる人物は全く知らないという。
ホームズ達が現場に赴くと、アンディ・ガルシアの撲殺体が池の縁で見つかり、サリー州警察のベインズ警部が捜査に当たっていた。ウィステリア荘を捜索中、謎の黒人がワトスンの目に止まり追跡するが逃げられてしまう。帰りの馬車の中で推定死亡時刻は夜中の1時だというベインズ警部に、エクルズは驚く。
ワトスンがひとりで宿に戻ると、ホームズは街の不動産屋を調べに行った後だった。ヘンダースンなる人物が住むハイ・ゲーブルを探索するよう置き手紙で頼まれたワトスンは、屋敷の離れの塔に婦人が助けを求める姿を発見するが、二人の娘に捕らわれてしまう。
ふたりに屋敷の中に連れていかれると、地図学者を装ったホームズと再会する。秘書の男に屋敷の主ヘンダースンを引き合わされるが、最近引っ越してきたばかりでこの辺りの事情には詳しくないいう。屋敷を後にしたホームズ達は、ベインズ警部がガルシア殺しの容疑者として黒人を逮捕したことを知る。誤認逮捕だとベインズ警部に忠告するが・・・・・・。
中南米の独裁者と復讐物語が絡んだミステリアスな一作
ウィスタリア荘は復讐物語となっています。独裁者の勲章や亡命先の煌びやかな邸内など、なかなか凝った演出をしています。原作ではブードゥー教の魔術も絡んでくるのですが、本編では省略されています。原作とは違い、ラストシーンで復讐物語が巧く収まっていきます。
よく聞くとオープニングの音楽は中南米風にアレンジされています。冒頭シーンのやりとりでは原作を忠実に再現されています。グロテスクで思い出した過去の事件に、ワトスンが「赤毛連盟」や「五粒のオレンジの種」を上げていますが、後者はグラナダ版ではドラマ化されていません。
ベインズ警部を演じるフレディ・ジョーンズは、後に「サセックスの吸血鬼」でも意外な役で出演しています。