シャーロック・ホームズの冒険データベース

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サセックスの吸血鬼 THE LAST VAMPYRE

ストーリー

作家ジョン・ストックトンがサセックス州ランバリーの村に訪れてから、村人達は不安な日々を送っていた。ストックトンが鍛冶屋と馬車の修理について諍いになり、馬車で立ち去る際、振り向きざまに睨みつけると、鍛冶屋は血を吐いて即死。ペルーから戻ってきたファーガスン家に晩餐に招かれた時に赤ん坊に触れると、その後原因不明の病気で死んでしまったのだ。

吸血鬼の噂で動揺に包まれた村を救って欲しいと、モリスン&ドッド法律事務所に紹介されたメリデュー牧師がホームズに依頼を寄越したのだった。吸血鬼の存在を信じるかと聞くホームズに、全然と答えるワトスン。索引で調べて、そのくだらなさに失望するホームズだったが、話を聞いていく内に依頼を引き受けることにする。

ストックトンはランバリーにゆかりのある大地主セントクレア卿の子孫で、先祖の墓を探しに戻ってきたが、セントクレア卿は残酷な性格で、逆らう者に惨たらしい死を与えていた。19になる召使いが身籠もったまま教会に捨て置かれたことが発端で、村人達の怒りを買い、屋敷共々焼き討ちにあうが、身籠もった子供は生き延び、今でも村にはその子孫がいるという。

ストックトンと共に廃墟へと赴いたホームズは、発狂するストックトンの指さす方角に幽霊を目撃する。赤ん坊が死んでからというもの妻はファーガスンと顔を合わせたがらなくなっていた上、息子のジャックまで取り込もうとしていたことでストックトンと口論になる。

雨の中、屋敷から馬車で飛び出したストックトンは、スピードの出し過ぎで事故死してしまう。馬車の突っ込んだ木は、ジャックが落下した木と同じだった。孤立していたストックトンと、早くに母を亡くした孤独なジャックは、赤ん坊の葬儀をきっかけに、お互い心を通わせるようになっていたのだった。

ストックトンの死後も、妻のメイドが夜事故現場を見物に行くと何者かに襲われ、首に二つの噛み跡が残る。ファーガスンの飼い犬が病気で弱っていた事に目をつけたホームズ。村人たちがストックトンの墓を暴くなどの混乱の中、ファーガスンはメイドの生き血を吸う妻を目撃する。

原作に忠実な路線から脱却した長編三部作第2部

原作を忠実に映像化したグラナダ版シャーロック・ホームズシリーズも、長編三部作から趣向を変え、新しい段階へと突入しました。その一つは映像が鮮明で綺麗になったことです。色もカラフルになりました。もう一つは原作に著しい改変を加えて、原作に忠実なままでは退屈になってしまうであろうドラマに彩りを添えていることです。

ドラマに流れている大まかな雰囲気を簡単に表現するなら、「恐喝王ミルヴァートン」が陽で、今作や「独身の貴族」は陰でしょうか。「恐喝王」と比べると、こちらのホームズはどちらかというと落ち着いていて、非活動的です。

初め見たときはあまりの改変振りにホームズ物には見えず、これからどんな風に話が展開していくんだろう、ジェレミー・ブレットは今回どんな演技をするんだろうと、ワクワクしながら鑑賞していたのですが、見ていく内に退屈感が出てきた覚えがあります。

二度三度通して見るのは苦痛な作品ですが、ジェレミー・ブレットとエドワード・ハードウィックが出ている部分だけ、堪能する分には、充分鑑賞に堪えうる作品です。ドラマの内容はともかく、カメラワークや映像の質は申し分ありません。

きびきびと動いているジェレミーを2時間鑑賞できるのは、ファンにとっては至福の時です。また、イギリスの古めかしい村の風景を美しい映像で堪能できるのも今作の魅力です。

血鬼のコスプレでワトスンを驚かすジェレミー

原作の短編は依頼の手紙から始まり、依頼のお礼の手紙で幕を閉じます。ドラマを見ても分かるとおり手紙の依頼主も変わっていて、なかなか面白い構造となっています。

冒頭に出てきたバンパイアのコスプレをするホームズですが、ジェレミー・ブレットは過去にバンパイアを演じたことがあります。ワトスンが「その牙は使ったのかい?」と訊くと、「意地悪な質問だね」とホームズは答えますが、ひょっとすると過去に出演したバンパイアのドラマの時に使った牙かも知れません(笑)。

スペシャルゲストとして、「ウェステリア荘」でベインズ警部を演じていたフレディ・ジョーンズが、村人の不安につけ込んでおまじないグッズを売る行商人の役で出演しています。

本国イギリスでは「恐喝王ミルヴァートン」「サセックスの吸血鬼」「独身の貴族」の順で放送されましたが、日本では今作が初めに放送されました。

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