シャーロック・ホームズの冒険データベース

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瀕死の探偵 THE DYING DETECTIVE

ストーリー

アデレード・サベッジがホームズの元に相談に訪れる。夫のヴィクター・サベッジはオックスフォード・ロンバード銀行の重役だったが、詩作に熱中するあまり、アヘン窟に通うようになり、仕事への情熱が失せ、アヘン中毒になりかけていた。従兄のカルヴァートン・スミスが唆したと疑っていたアデレードは、ホームズとワトスンを、一同が会する晩餐会に招待する。

ところが、晩餐会でのカーペット滑りの余興中に、ヴィクター・サベッジが倒れて数日後に絶命してしまう。アマチュア病理学者のカルヴァートン・スミスに寄ると死因はスマトラ病で、ロザーハイズのアヘン窟で感染したのではないかという。ヴィクター・サベッジの死で屋敷を含む遺産の全ては、遺言により従兄のカルヴァートン・スミスのものとなり、アデレード未亡人は屋敷を追い出されることになった。

アデレードの依頼を受けて調査に乗り出したホームズは、衆目の集まる中、カルヴァートン・スミスに対して医学界から追放されるだろうと高らかに宣言する。その後、カーライルからローデシア・タバコが送られてくるが、血相を変えたハドスン婦人に呼ばれてワトスンがベーカー街の下宿先を訪れると、ホームズが同じスマトラ病に冒されていた。

治療できるのは、専門家であるスミスしかいないから彼を呼ぶようワトスンに懇願するホームズ。血相を変えたワトスンに圧されてベーカー街221Bに訪れたカルヴァートン・スミスは、ヴィクター・サヴェッジの死の真相を、瀕死の探偵に耳打ちする。

ジェレミー・ブレットの見事な役者魂

前作の長編「サセックスの吸血鬼」でもそうですが、第6シリーズに入ってから、ジェレミーの容態が余り芳しくなく、持病の薬の副作用で初期シリーズと比べると体が太り、声も若干高くなったような感じがします。動作も鈍り、ホームズを演じることが、かなりしんどそうに見えます。それらのハンディキャップが、瀕死の探偵を演じる際には、効果的に映っています。ジェレミーの役者魂を見せつけられた感があります。

上の画像のスチール写真と同じものを、ビデオのパッケージ裏で初めて見たときは、さすがグラナダ、原作の挿絵にソックリの配役だと感心したのですが、パッケージの小太りの人は阿片の売人で、実際にカルバートン・スミスを演じている役者はほっそりとした人で、見事に裏を掻かれました。

原作ではワトスン博士がハドスン婦人に呼び出される所から始まっています。つまり原作をよく知っている人は、慌てふためいてワトスンを呼びにやって来るハドスン婦人のシーンを見て、ようやく物語が始まったと心高揚するわけです。ああようやく原作を忠実に再現してきたグラナダテレビの腕前が、以前の初期シリーズのように楽しめるなという風に。それまでの粗筋はグラナダ版の完全な創作で、オマケみたいなものですが、ドラマ化しにくい短編に膨らみを持たせているのは確かです。

なお、初期の「赤毛連盟」でアセルニー・ジョーンズ警部役で出演していたジョン・ラバノウスキーが、モートン警部役で再出演している他、脚本家のトレヴァー・ボウエンが医学博士チャールズ・ダマント役で出演しています。

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